千年の森 アートライン

オノ・ヨーコをはじめ、世界の著名なアーティストたちがこの森を訪れ、作品を制作、点在させています。
森に埋め込まれた現代アート。時を忘れ、作品をめぐり、しばし森との対話に身をゆだねてみてください。
風景に溶けこみ、思いを馳せ、そこであなたはなにを見つけるのでしょう?

森に点在するアートをめぐるコースを「森のガイドツアー」に加えました。
詳しくはこちら
※コースマップはマンサードホールで無料配布していますので基本的に自由にご覧いただけますが、オノ・ヨーコ作品のみ、予約制でガイド付となります。

「カムイのサークル」2002 板東 優

アイヌの伝承に、ホネオップ川のいわれとなった鹿合戦の物語があります。十勝と日高の鹿が長い戦いを繰り広げ、両軍とも疲れ果てたところにカムイ(神)が現れて仲直りさせたそうです。鹿たちはその後、カムイの使者となって十勝と日高を行き来するようになりました。

円陣を組んだ石は十勝と日高の鹿、中の石はカムイです。

「キサラのかけら」2002 板東 優

昔々、オプタテシケ山(大雪山系)の男神とアカンヌプリ(雌阿寒岳)の女神が夫婦喧嘩をした折に、アカンヌプリがオプタテシケを狙ってヤリを投げつけました。ところが、二人の間に兄弟分のヌプカウシヌプリの山神が立ちはだかったため、ヤリはヌプカウシヌプリの耳(キサラ)を削って落ちました。
大きな石はその耳のひとかけら。

「時折、形を成す中小210の断片」2003 インゴ・ギュンター

どうぞ覗いてみてください。 窓に打ち付けられた板の隙間に顔を近づけないと、この作品を見ることができないようになっています。
 ギュンター氏は十勝千年の森のために、帯広競馬場で行われた、とかち国際現代アート展「デメーテル」(2002)で発表した作品をつくり直しました。厩舎からサイロへの引っ越しです。

北海道の開拓時代、馬は人間が生き延びるためになくてはならない存在でしたが、今ではあまり目にすることもありません。彼らが担っていた大切な役割は、自動車にとって代わられてしまったのです。
 サイロの中、骨格だけのこの馬は、獲物を狙う恐竜のように大きく口を開けて、豊かさを象徴する金箔をまとっています。ユーモラスに、ときには悲しげに、ゆらゆらと揺れながら、何を思っているのでしょうか。

「北海道のためのスカイTV」2005 オノ・ヨーコ【要予約・ガイドツアー】

この土地に残されていた開拓農家の廃屋に、当時の面影を取り戻すための最小限の修復を施しました。4作品と作家本人によるインストラクション・リーディング映像(日・英)を展示しています。
私たちに馴染み深いテレビを通して空のエッセンスを人の目線に持ってきました。いつもは見上げる空が、ここではあなたを見つめています。

「北海道のための念願の木」2005 オノ・ヨーコ【要予約・ガイドツアー】

願い事を書いて枝に吊してください。世界中の「念願の木」から集められた願い札は、「イマジン・ピース・タワー」*1 に収納されます。
「一人で見る夢はただの夢だけど、一緒に見る夢は現実になる」 by オノ・ヨーコ
*1:アイスランドに建造されたオノ作品

「雲の曲」2005 オノ・ヨーコ【要予約・ガイドツアー】

空からしたたり落ちてきた雲の滴を入れておく穴を掘りました。

「青い部屋のイヴェント」2005 オノ・ヨーコ【要予約・ガイドツアー】

タイトルを含めて16カ所、 壁、天井、床、窓、家中の色々なところに想像力を刺激する言葉が書かれています。作家が60年代、家具も何もないニューヨークのアパートで暮らし始めた頃に発想された作品です。

「天の川の橋」2007 サミ・リンターラ 

落葉樹と常緑樹が混在する森の入口に、十勝と北欧の自然をつなぐ小さな橋の休憩所をつくりました。作者がまだ幼い子どもだった頃、フィンランドの森の中、この場所と同じように小川の流れる所で感じた幸せな雰囲気を観客に味わっていただけるように、という気持ちで建てたものです。
 内壁にはノルウェーのヨーン・ロガ・ホルテによる作品が取り付けられています。これらもすべて、この場所で制作されたものです。
 橋の縁に座るとすぐ足下に川面、小窓の向こうに森の木立を眺めることができます。こちら側と向こう側との懸け橋で、静かなひとときをお過ごしください。

「幣のフィールド」2008 岩井成昭

ここに置かれているたくさんの白い陶のオブジェは、ひとつひとつ粘土をこねて作られた、掌に乗るくらいの小さなものです。十勝千年の森をはじめとして全国各地でオブジェ制作ワークショップが開催され、幅広い世代の方たちに参加していただきました。今後もワークショップは継続され、オブジェの数は増え続けます。

 これらのオブジェの題材は作る人の身の周りのものであったり、大切な思い出であったり、想像上のものであったり、いずれにしても今しか発想することができない何ものかです。もちろん、ひとつとして同じものはありません。
 こうしてできあがったオブジェが次々に集められ、ひとつのフィールドを形作っていきます。苗木が育って大きな木陰を作るのと同様に、この作品も徐々に成長していき、遠い未来の人々への贈り物となるのです。

*「幣のフィールド」ご鑑賞者のみなさまへ
オブジェが置かれたフィールドは、みなさんに気持ちよく鑑賞して
いただけるよう、岩井成昭氏とボランティアの方たちの手でひとつ
ひとつ丁寧に設置したものです。
稀にですが、オブジェに触って動かしたり、マジックでお名前など
を記入したりする方がいらっしゃるようです。
どうかオブジェには手を触れぬよう、みなさまのご理解とご協力を
お願いいたします。

詳細ページへ

「七つのダイヤモンド」2008  ディディエ・クールボ

千年の丘を望む場所にぽつんとひとつ、石碑が立っています。その先から始まる道は丘の上へと続いていて、なにかの入口への案内板のようでもあります。
 この作品は、清々しい空気と美しい自然の風景を備えた、ここ、十勝千年の森というランドスケープへの誘いです。見るだけではなく、歩いて巡ることで自分も風景の内部に入り込み、遠くからの眺めでは想像もしなかったような出来事に遭遇したり、隠されていて見えなかった何かに気付かされます。
 碑文を手掛かりとして、想像の翼に乗って雄大な景色を堪能するのと同時に、小径の窪みや草むらの色合いの些細な違いなどをじっくりと味わって、小さくても素敵な発見があることを願っています。

「厩構造と投影(虚と実)」2008 浅野 修

戦後間もない頃に建てられた馬小屋を解体、移築しました。2007年に開かれた道立帯広美術館での個展では、多くの方たちの協力を得てこの梁や柱が黒く塗られて再生紙に転写され、小屋の構造体と対を成す展示がなされました。

 十勝千年の森ではその制作ワークショップが行われたこともあり、この土地のための新たな作品として再構成され、池を配置して恒久設置されることになりました。石の配置は暦であり構造体が落とす影の位置によって季節を知ることができます。
 映し出すものと映し出されるもの、本当は鏡像の向こうに実像があるのかも知れません。