ガーデンピクニックを演出する、魅惑のランチボックス
アースガーデンの入り口に、休憩所としても使われている「キサラ」という施設があります。レンガがアーチ状に組まれた天井の高い室内は、夏でもひんやりと涼しく、歩き疲れた体を休めるのにぴったり。2020年シーズンに同所で、飲み物やランチのセットを提供し、ふだんは帯広市内の有名レストランで総料理長を務める馬渕善範(52)にこだわりを聞きました。
来場者の好みの時間、場所で楽しめる 看板商品の「ガーデンボックス」(1000円、税込)は、その日の朝に焼いた3種のパンと2種のフレーバーバター、とろねぎとじゃがいものスープ、リンゴタルト、採れたて野菜のマリネまで付いたとても豪華なセットです。
その名の通り、すべて箱に入っているので、気軽に園内のどこへでも持ち運びOK。「広大な十勝千年の森の中で好きな場所を見つけて、大自然の中で味わって欲しいと作ったメニュー。気軽にピクニックを楽しんでほしい」と馬渕は話します。ガーデン内で採れた新鮮な野菜やチーズ
野菜のマリネは、十勝千年の森で採れたズッキーニやリーフレタス、トマトなど新鮮な野菜だけを使用。園内のチーズ工房で生産されたラクレットチーズがアクセントになっています。
評判の2種のフレーバーバターは、ハーブとドライフルーツ。バジルやオレガノが香る塩気の強いバターと、レーズンやアプリコットが練り込まれた甘いバターは、それぞれパンに付けても十分においしいのですが、混ぜて食べるとまた違った味を楽しめます。箱の中から“小さなガーデン”のサプライズ! フタをあけてまず目に飛び込んでくるのは、ナスタチウムなどの色が鮮やかな花。キサラファームの畑で栽培する無農薬の食用花「エディブルフラワー」を飾りに使って、箱の中に小さなガーデンを演出しています。馬渕は「家族連れでお子さんが来たときには、『どの花を入れたい?』と聞いて、オリジナルのガーデンボックスを作ってあげます。そうすると、すごく喜んでくれますよ」といたずらっぽく笑います。
道外から来たお客さんには、「コクがあるのにすっきりとした飲み口で、必ずおいしいと言ってもらえる」と「十勝よつ葉牛乳」(500円、税込)を勧めます。キサラに立ち寄ったお客さんには、周辺の木の説明や、この地に伝わるアイヌ神話を披露することもあるそうです。「ここ(十勝千年の森)へ、みなさん楽しもうという気持ちで来ているのが伝わる。わたしも食事やお話を通じてそのサポートがしたい」という想いを胸に、森の調理長はきょうも腕をふるっています。