十勝千年の森/TOKACHI MILLENNIUM FOREST

十勝千年の森では、大自然を体験できる北海道ガーデンの他、ヤギの哺乳体験なども楽しめるファームガーデン、見て食べて楽しめるキッチンガーデンや現代アートの展示、セグウェイに搭乗できる体験ツアーがあります。

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世界一愛される庭を創り出す/ガーデナーが彩る森のこだわり

 広大な北海道には、美しいガーデンが点在しています。その中でも最大のスケールを誇る「十勝千年の森」。この森を語るうえで「世界一愛される庭づくり」を目指すガーデナーたちの存在を見逃すわけにはいきません。400ヘクタールにおよぶ広大な庭の全体をわずか4人で管理する国内屈指のガーデナーチームを取りまとめる新谷みどりは、妥協を許さぬガーデン管理によって世界基準の庭を作り上げた国内屈指のカリスマ的存在。彼女の森に対するこだわりに迫ってみました。
野趣あり洗練もされた美しい庭 「植物と気候が全ての自然優位な仕事。人間の自己満足で取り組んではいけない。徹底的に自然と向き合わねばならない」。新谷が思う十勝千年の森の庭づくりの特徴です。
 十勝千年の森のコンセプトは「ラスティックビューティー」。野趣があるけど洗練された美しい庭です。華やかに咲くときだけではなく、芽吹きから開花、結実まで、自然の営みの全てを楽しむこの「ナチュラリスティック・プランティング」の考え方は、15年ほど前から世界で広がってきましたが、日本ではこの森が最先端で行っています。

長く滞在するほど魅力が感じられる こうした庭づくりを形にするには、自然を観察する力、植物の変化を捉える力が試されます。ただ観察するだけでもいけません。植物の命のサイクルは数十年、数百年単位であるため、どのように変化していくか想像する力も豊かでなければならないのです。新谷は「庭づくりのビジョンを持った上で自然を学び尽くして管理するのが十勝千年の森の真骨頂」と語っています。
 「長く滞在してもらうほど魅力が感じられるのが十勝千年の森」と言います。同じ場所にいても光、風、音、植物の見え方など自然の移ろいが感じられるのです。新谷は「自然の一部になる感覚を楽しんでほしい」と話しています。

故郷・福井の里山の風景が原点 新谷は北海道と同じ雪国の福井県に生まれ、幼い頃から庭づくりや日本の伝統文化が好きだった祖父の影響を受けます。そのとき好きだった里山の風景が今の庭づくりにもつながっていると言います。
 大学卒業後はイメージと合う仕事がすぐには見つからず、園芸店のアルバイトでお金を貯め、スウェーデンでガーデニングを学びます。当時の日本はイングリッシュガーデンブームが最盛期のころ。文化も伝統も異なる日本にイギリス式の庭園を持ち込む風潮に違和感を覚え、ガーデンでは有名ではないものの、自然を大切にして整備するスウェーデンを選びました。事前に何も計画しないまま、現地のガーデンに乗り込み同施設のヘッドガーデナーに修業させてほしいと直談判。働くかたわらガーデンで人を楽しませる表現方法を身につけたそうです。

東京ドーム85個分をたったの4人で こうした寒冷地の庭づくりに携わった経験が生かせると思い、十勝千年の森のガーデナーとなることを選びました。同施設の総面積は400ヘクタール(東京ドーム85個分)。広大な敷地をヘッドガーデナーの新谷を中心として4人で管理します。外国では20~30人がかりで管理するほどの面積のため、海外からの視察者には驚かれることが多いそう。ガーデナーの得意、不得意を見極め、効率的な管理に励んでいます。
 しかし、ガーデンの軸、美意識、センスはまだまだ統一されていないと言います。「優れたガーデンは看板のフォントひとつをとってもぶれていない。ぶれている庭には憧れや感動は生まれない」と一切の妥協を許さず、毎日泥まみれになりながら作業を続けています。

新谷みどり(しんたに・みどり)

新谷みどり(しんたに・みどり)

Midori Shintani

ヘッドガーデナー

 1972年6月1日、福井県小浜市生まれ。宮崎県内にキャンパスを置く南九州大学造園学科卒業後は単身スウェーデンに渡ってガーデニング修行に励む。ミレスゴーデン、ローゼンダール・トレードゴードで学び、帰国後は造園会社で働き庭園の管理や公共工事の植栽など日本の庭づくりを土木や設計の観点からも勉強した。2008年から十勝千年の森ヘッドガーデナー。重い資材を軽々と持ち運び、屈強な男性でも取り扱いが難しい重機をいとも簡単に扱う“ガテン系”ながら、実は東海地区有数のお嬢様系名門女子校出身・・・。本当は“箱入り娘”だった?!

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