十勝千年の森/TOKACHI MILLENNIUM FOREST

十勝千年の森では、大自然を体験できる北海道ガーデンの他、ヤギの哺乳体験なども楽しめるファームガーデン、見て食べて楽しめるキッチンガーデンや現代アートの展示、セグウェイに搭乗できる体験ツアーがあります。

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この森から世界へ・・・ヤギを愛し、チーズ作りを極めた天才

2012年に英国のガーデンデザイナーズ協会賞でGrand Award(大賞)を受賞し、「世界で最も美しい庭」と評された十勝千年の森には、まさに「世界一」を目指す本物のプロフェッショナルが多く存在します。今回紹介する斉藤真(43、キサラファーム社長)もそのひとり。希少なヤギ乳を使用したチーズにいち早く着目し、ヤギの生産から、飼育、チーズ作りまで一手に引き受ける、この森になくてはならない存在です。森で育ったヤギのチーズを十勝から世界へ。夢を追い続ける男に迫ってみました。◎日本ザーネン種が約60頭 日高山脈の麓の新緑の大草原を鮮やかに彩る純白なヤギの群れ。十勝千年の森には日本ザーネン種のヤギが約60頭飼育されており、その牧歌的な風景が、訪れる人々にゆったりとした時の流れを感じさてくれます。
この地でヤギと羊を飼育し、国内では珍しいシェーブルチーズ(ヤギ乳のチーズ)の生産、販売を行っているのが、「十勝千年の森チーズ工房」を運営するキサラファーム社長の斉藤真です。

◎群馬から酪農にあこがれて十勝へ 出身は織物の町として有名な群馬県桐生市。地元の国立大学に入学し、一度は公務員を目指しましたが、幼少期に描いた飼育員という夢を捨てきれず、中退し、帯広畜産大学に再入学。卒業後、十勝千年の森で働き始めました。森でも有数のエキスパートです。◎放し飼いでミルクの味が変わった 千年の森の見どころのひとつである「ヤギの放牧」と、ここで生産されるチーズのおいしさには、深い関係があります。ある時、ヤギの餌である牧草ロールが不足しました。そのとき周辺一帯の草を食べるよう放し飼いにしたところ、斉藤は「翌日、乳が張り、味がおいしく激変した」といいます。同時に病気やストレスも減ったことから、安全面や影響を精査したうえで、15年ほど前からヤギの完全昼夜放牧を開始しました。

◎1日の搾乳量からわずか120グラム ヤギ1頭の搾乳量は1日当たりわずか1.0~1.5リットル。それをチーズにすると10分の1の120グラム程度にしかならず、シェーブルチーズは非常に希少なものです。国内ではほかにも生産している事業者はありますが、十勝千年の森のチーズはヤギ独特の臭みは少ないのが特徴。国内外のチーズのコンテストでも数々の受賞歴があります。それでも斉藤は「自分の作るチーズに満点はない」と話します。天候によって乳の味は微妙に変わるため、材料の量や飼育方法の試行錯誤を繰り返し、“ヤギのチーズは臭い”という従来のイメージをなくし、味だけでなく、形と色まで美しい究極のチーズを目指し続けています。◎世界一のシェーブルチーズを作りたい 「購入していただくお客さまにとってヤギがもっと身近な存在になるために」斉藤は我が子を育てる親のような愛情で、ヤギが人に丁寧になつくように育てています。「特に子ヤギは、人が好きなので、ぜひ千年の森に触れ合いに来てほしい」と語る斉藤は、「世界一のシェーブルチーズ」を完成させるため、きょうも日夜研究を続けています。

斉藤真(さいとう・まこと)

斉藤真(さいとう・まこと)

Makoto Saito

キサラファーム 代表取締役社長

1976年6月15日、群馬県桐生市生まれ。国立帯広畜産大学畜産学部を卒業後、当時、十勝千年の森を運営していた旧ランラン・ファームに2001年4月入社。入社時からヤギ、羊の飼育を担当し、2003年頃からチーズの販売を開始。自身が考案したシェーブルチーズの製造工程が認められ、「十勝シェーブル 炭」は2019年、「第12回 ALL JAPAN ナチュラルチーズコンテスト」のシェーブル部門で最高成績の金賞受賞。その他、牛乳から作る「牛鐘(カウベル)」なども含め、数々の受賞歴を持つ。趣味はバドミントン。群馬県立桐生南高時代は、高校総体にも出場。現在も十勝千年の森がある上川郡清水町の小中学生に指導を行うほか、自身も2018年北海道シニア選手権40代ダブルス3位の本格派。独身。

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